ムンクの生涯をたどる旅

都立美術館で開催中のムンク展に足を向けた。私自身、ムンクの絵が何となく心が重くなる、引っ張りこまれるような印象のため会期終盤での鑑賞となった。その中でも一番興味があったのは、最後の自画像。時計とベッドとの間。何となくゴッホの椅子と同じような印象があったからだ。ゴッホの椅子も色調は明るく感じるのに不安感と閉塞感を感じる。このムンクの絵もそうだ。うつろな老人、ドアは開かれているが手前のベッドがあるため出られない。時計もぼんやり描かれている。

やはりムンクは色彩のバランスがいい。紫といっていいのだろうかその色の使い方がいい。赤もおどろおどろしくていい。特に木版画が私は気に入った。色彩と整理された要素。その集約されていく中にどんどん絵のテーマが象徴的に感じた。ムンクは目を顔をはっきり描かない。あえて瞳の奥に映し出されるイメージを、魂を描こうとするからだろう。しかし、晩年の犬の絵には瞳が、瞳にくっきりと光があった。犬という存在はその時のムンクにとってどんな存在であったのだろうか。

オスロ大学の壁画「太陽」。今まであんなにドロドロと感じるような魂を描いてきたのに命の源となる太陽を描く。女性、命、生と死。そして太陽。太陽が司る大きなエネルギーを力いっぱいに描いた!という気持ちが伝わる作品と感じた。

やはり美術館の展示はいつも勉強になる。作家の作品をつなげてみていくことで、どの様に変容していったのか、どんな生涯を送ったのかたどることができる。今まで知らなかったムンクに出会えて感謝です。