相馬の古内裏 歌川国芳をよむ

相馬の古内裏 歌川国芳をよむ

 

この文章は学術的見解ではなく、私が感じた絵からの気づきによって構成されてます。

 

相馬の古内裏。歌川国芳の代表作のひとつ相馬の古内裏をよく見てみた。浮世絵すなわち風俗画だ。木版刷りであるようだ。

まず大胆に描かれている骸骨に注目してしまう。他の登場人物の何倍もの大きさに描かれており、背骨が曲がり、朽ちた御簾のようなところをかき分け出てくる指の骨の感じが恐ろしい。出ました!と言わんばかりの演出だ。右手前から光が当たっているのか骸骨の目の周りが協調して描かれている。今は無き目玉の場所に白く浮かび上がる空間がなおさら不気味な印象を与える。その半面、前歯が欠けているさまは、面白くもみえる。骸骨の視線の先には武士がいるではないか。武士の名前はきっとここに描かれている大宅太郎光圀であろう。もう一人ねじ伏せられているのは荒川九と考えられる。太郎はかなり腕の立つ武人の様だ。九の刀を踏みつけ首を抑えている。九、間一髪か。九の表情はすさまじく隈取で表現されているところを見るとかなりの闘争心を持ち、状況から邪気にあふれているということか?骸骨と太郎は見合っているではないか。太郎は隈取もないところから正義の味方か。太郎が九をねじ伏せたところで、映画などによくあるように最後の大物妖怪登場か?とすると端にいる女性らしき人は誰であろう。髪の長さ服装から女性であることはほぼ間違いはない。傍らに瀧予の姫とある。やはり姫か。背景の装飾から身分が高ことがみてとれる。巻物を広げながら上から太郎を見ているではないか。では、太郎の味方か?いやそうには見えない。なぜだろう。御簾の向こう側に姫が立ち、御簾の向こうに骸骨。そして姫の着物は赤が印象的で、九の着物も赤がポイント。この2点から姫は骸骨と九の仲間と考えられる。では太郎は?よく見ると太郎のわきには包と被り笠が置かれている。太郎は旅をしてきたのだろうか。考えられるのはたまたま化け物に遭遇したか?もしくは化け物退治に来たのか。よくみると朽ちた鎧兜がバラバラ落ちており床から草が生えている!ここはまさかの化け物の住処か?先ほどの九の表情とを考えあわせれば化け物退治に来たことのほうが可能性は高いだろう。姫が巻物を広げているのは呪術指南書か?九のピンチに骸骨を登場させたのか。

いやいやこの絵はみていて飽きない。カンカンと拍子木がなり舞台の幕が上がったような場面だ。三味線のシャンシャンという音も聞こえてきそうだ。大きく三つに割られた画面構成が全体を強く演出し、おのおのの立場を明確にしている。上から垂れている黒いグラデーション、骸骨の背景の黒の無機質さ、姫の後ろの格子の壊れ具合。朽ちた御簾の動き。すべてに無駄がない。シャープな線を多用することで物語に緊迫感を持たせている。

平安、鎌倉時代の話を江戸風に描き上げたと推察される。おもしろい。きっと江戸の人々もこの絵に驚き、面白んだことと思う。

これは私の気づきによって書いている。学術的な見解ではないのであしからず。